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【文】ヒマワリ

『ヒマワリ』

私の家はおじいちゃんから贈られた土地に立っており、それなり敷地は広い。
庭には母が造った家庭菜園が広がり、道路沿いには垣根が造ってあった。

庭の、一番端に植えてあるヒマワリ。

その下にパパが、埋まっている。



私の『父』は、私が小学5年生のときに事故で亡くなりました。
勤勉で立派な父親だった記憶がぼんやりとだがある。

中学2年生のときに、母は『パパ』を私に紹介しました。当時、既に付き合ってたらしい。
第一印象は、『父』と同じく勤勉な人。
母はこういう男性が好みなのだと私はその時思いました。

2人が喧嘩をするようになったのは、再婚してしばらくしてからのことです。
毎日のように朝から夜中まで罵声、夜中だというのに壁一枚を隔てた隣部屋から聞こえると怒号。

正直、うるさかったです。

それにどうやら、原因のひとつは私のようでした。

「もう限界だ!あの子はやっぱり手放そう」

とパパは言いました。
もちろん壁を挟んだ隣からの声でしたが。

「ダメよ!あなたとは他人でも、私とは血がつながっているのよ!?」

と母。
壁を隔ているため、彼女がどんな声音だったかはわからない。

終わることなく繰り返されると思っていた抗争は、私が高校に進学が決まる頃、ある日を堺に終わりました。

私が捨てられたからではありません。
喧嘩をする人がいなくなったので、終わったのです。

パパはその時…何が起こったかわからなかったでしょう。
か細い女が、男である彼を相手するのには不意を突くしかありません。

母はその時…後悔の念にさいなまれたでしょう。
私もです。私がこの家を出て行けば、誰も埋まることなく解決できたかもしれないのに。

それでも、こういう結末を選んだのです。

こうしてパパは、ヒマワリの下に埋まっています。




知らない間にあたりは暗くなっていた。

私はヒマワリの花をそっとなぜて立ち上がり、駆け足で家の中に入る。
家の中で電話がなっている音が聞こえたからだ。

「もしもし西尾です」

受話器をとる私。
相手の「美穂?」という声を聞き、おばあちゃんだとわかる。

「うん、わたし。どうしたの?」
「きちんと戸締りしなさいよ?最近一人暮らしを狙った泥棒が出てるみたいだから」

おばあちゃんの心配そうな声音が、受話器越しに私の鼓膜に届いた。
壁を隔てて聞いた母の声には無かったその声音に、私は少し咽る。
暗いリビングを見渡して、深呼吸。「うん、気をつける」と少しだけ明るい声を出して応え受話器を置く。

今晩の夕飯の献立を考えていなかったのを思い出して、冷蔵庫を開けた。
低い音を立てる冷蔵庫のなかのオレンジの光。

そうだ、冷やし中華にしよう。夏といえば、これである。




言うのを忘れたけど。
母は垣根の下に、埋まっています。




おわり

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